ノッティングヒルでペイストリーシェフ

こんにちは!

前回の記事のカップケーキ店で半年間働いた後、レストランのペイストリー(デザート)部門の仕事に就くことができました。

このレストランはノッティングヒルにあり、朝食からランチ、ティータイム、ディナーまで幅広く営業しているなかなかの人気店です。

お店の名前が違うので求人に応募した時は気づかなかったのですが、日本にも支店がいくつかある所でした。

わざわざイギリスに来たのに日本にもあるお店に就職してしまい、失敗したか…と思いましたが仕事内容は日本の支店とは全く違うものだったので結果的にかなりいい経験ができました。(ワーホリから帰国後日本の支店でも働いていました。)

こちらのレストランもともとはオーストラリアのお店なのでイギリス菓子とは関係ないのでは?と思われるかも知れませんが、オーストラリアがイギリスの植民地だった事から共通点も多く、オーストラリア(ニュージーランド説もありますが)が発祥のパプロバやアンザック、ラミントン等現在イギリスで一般的になっているお菓子もたくさんあります。

こちらのキッチンスタッフもかなり多国籍。
イギリス、オーストラリア、ハンガリー、イタリア、スペイン、トルコ、ナイジェリア等様々です。
海外で働いていたと言うとよく英語がペラペラだと勘違いされるのですが、ホールスタッフと違いキッチンスタッフはレシピが読めて簡単な意思疎通ができれば英語力はそんなに必要ありません。
特にロンドンは外国から来た人が多く、お互い片言でもなんとか理解しあおうとするので問題なく仕事はできました。

キッチンは細かくセクション分けされていて、ペイストリーシェフは全部で3人。
基本的に早番1人、遅番1人でシフトを回していきます。
ほとんどの時間、自分1人でペイストリー部門を担当するので責任重大です。

1日の流れ

「世界一の朝食」で有名なレストランなだけあって朝は早いです。

ペイストリーは朝の仕込みが多いので1番早く出勤です。
朝6時からマフィンやスコーン、クッキーを焼きます。
余談ですがマフィンは前日に粉類と液体類をそれぞれまとめて計量しておいて後は混ぜてオーブンに入れるだけなので作業時間は5分もかかりません。お好みのフルーツ(冷凍のままでも)を足せば焼き時間25分で朝から焼きたてのフルーツマフィンで優雅な朝食♪もできますのでおすすめです。

焼き物がオーブンに入ったら前日の在庫をチェックして仕込みリストを作ります。
その後、7時のオープンまでに1回目のパンケーキ生地を作ります。

ペイストリー担当の重要な仕事の1つがこのパンケーキ生地作りです。メレンゲのふわふわ感が命なので長時間作り置きはできない為、出数を見ながら、他の作業と並行して1日に何回も仕込みます。

次はハンバーガー用のバンズを成形していきます。
前日に仕込んで冷蔵庫で一次発酵した生地なので長めの二次発酵が必要。
ランチに間に合うように急いで成形します。

バンズの用意が終わったら次はカウンターにディスプレイするケーキの仕上げです。

ケーキは1日2〜3種類用意するのですが日替わりで、ペイストリー担当がかなり自由に決めることが出来ます。

ビクトリアスポンジやキャロットケーキ等ベーシックなレシピは用意されていてそこから好きなものを作ったり、フルーツを変えてちょっとアレンジしたりと、レストランのテイストから外れなければokです。
特に注意するように言われたのはデコレーションをとにかくランダムに、ラフな感じにする事!
日本ではすべてのカットに均等にフルーツが配置され、パレットナイフの跡も一切なしのきれいなケーキが良いとされますが、あえて崩してきっちり仕上げないことでおしゃれな感じがグッとアップします。

もともと手先の器用なタイプではない私にはこのスタイルが合っていた様で苦手意識を持っていたデコレーションも楽しくする事ができました。

10時頃にカウンターにケーキを並べたら、成形しておいたバンズを焼いて、ディナー用のデザートの仕込みに取り掛かります。

その後、翌日のディスプレイ用のケーキのベースを焼いたり、モーニング、ランチメニューのグラノーラやグルテンフリーブレッドの仕込みをしたりします。
合間にオーダーが入ったらフルーツ盛り合わせを作ったりパンケーキ生地の補充をしたりしているとあっという間に14時になって遅番と交代です。

遅番は残りの仕込みや翌日のバンズ生地の仕込みをしたら後はディナータイムのデザートをオーダーに応じて盛り付けるのがメインの仕事でかなりのんびりとした感じでした。ラストオーダー後もデザートのタイミングが来るまで待っていないといけないので他のシェフが仕事を終えて帰る中、ペイストリー担当は最後まで居残り。23時ごろに終業です。

スタッフも皆やさしく、やりがいもある職場だったので出来るならもっと働き続けたかったのですが残念ながらビザの期限が来てしまったので帰国する事になりました。

このレストランで、ある程度1人で多くの作業をこなし、自分の作りたいケーキを自由に作るという経験が出来たことが自分でお店を持ちたいという気持ちを大きくしてくれたと思います。

長くなりましたがこれでイギリスでの仕事についてはおしまいです。お付き合い頂いた皆さんありがとうございました。

ロンドンのカップケーキ店で働く

こんにちは!

今日は前回の続きです。2013年にイギリスワーキングホリデービザを取得し、2年間のイギリス生活が始まりました。

費用を抑える為ロンドンより物価が安い地方都市ブリストルに3ヶ月滞在して、語学学校の先生に履歴書の添削をしてもらったりしながら仕事を探しました。

ティールームやカフェを巡っていいなぁと思った所に履歴書を渡してきたり、ネットの求人広告に応募しながら約2ヶ月半が過ぎた頃、ロンドンのカップケーキ店で面接をしてもらえる事になりました。

緊張しながら簡単な面接を終えると、「じゃあ来週トライアルに来て」と日時を指定されました。

イギリスでは面接だけでなく、トライアルと言って1日〜数日実際に働いてみてから採用するか、そこで働くかをお互いに判断するのが一般的です。

日本でのケーキ店での経験が役に立ち、無事トライアルをパスして予定通り3ヶ月の語学学校を終えてロンドンに引っ越しました。

テイクアウト中心のカップケーキ店で、クッキーやカラフルなアイシングをしたホールケーキ等も取り扱っているお店です。

ペイストリースタッフは全部で8人程で出身地も様々。
私がいた時はイギリス、カナダ、アメリカ、モンゴル、タイ、ドイツ出身の人が居ました。
このスタッフが2店舗に分かれてシフト制で働くので1日のスタッフは各店舗2〜3人で販売する商品を作ります。

1日の流れ

仕事は朝7時から始まります。

オーブンのスイッチを入れたらまず紅茶を一杯。
代表1人がそれぞれの好みの入れ方で入れてみんなに配ります。さすが紅茶の国!

濃い目の紅茶で目が覚めたらまず、リーダー(基本的にネイティブスピーカーの人)がその日のオーダーを確認して1日に作るケーキの種類と数を紙に書き出します。
その後リーダーはその日に販売するケーキのアイシングに取りかかり、残りのスタッフは手分けして紙に書いてあるケーキをどんどん作っていきます。

基本的に早い者勝ちで自分が作りたいものを作っていくので工程が面倒な物は残りがち(笑)
このケーキを作るのははあの人が好きだから残しておく等、自然に暗黙の了解が出来る事もありました。

勤務時間は一応1日8時間で時給制なのですが、その日必要な作業が終われば定時前で帰ってもきっちり8時間分のお給料が貰えるので、みんな昼休憩は軽くすましてとにかく早く仕事を終わらせようという感じでした。
もちろん定時で終わらなかった時はしっかり残業代が出ます。

このお店は基本的にカップケーキがメインだったので伝統的なイギリス菓子という訳ではありませんでしたが、アップルクランブルやバノフィー、スティッキートフィープディング等イギリスでお馴染みのお菓子をモチーフにカップケーキにアレンジされていて、若者に人気のお店でした。

スタッフの誕生日にはその人が好きなケーキをベースにしたホールケーキをプレゼントしてくれます。私はバナナケーキとキャラメルアイシングの組み合わせのバノフィーケーキを頂きました。

この可愛いアイシング、常温でも日持ちを良くしたり、固さを出してデコレーションし易くする為に粉糖がどっさり入っています。1回の仕込みで3㎏の紙袋丸ごと使うほどに…
紅茶やブラックコーヒーと一緒にちびちび食べると美味しいのですが、めちゃくちゃ甘いです。

このお店で学んだモダンなイギリス菓子アレンジを取り入れつつ、
wicked bake shopでは出来るだけ粉糖を減らして日本人のお口に合うような
クリーミーなアイシングを使用したカップケーキもご用意しています。
ぜひご利用ください。

また長くなってしまいましたが、次回はレストランでのペイストリーシェフの仕事について書きたいと思いますのでよろしくお願いします。

イギリス菓子と出会うまで

こんにちは!オープンまであと1週間となりました。
オープン日告知以降たくさんの方にホームページを訪れていただき、ありがとうございます。

簡単なプロフィールはaboutに書いてありますが、これから数回に分けて私がイギリス菓子に出会ったきっかけやロンドンで働いていた時の事について書きたいと思います。

初めてのイギリス

私が初めてイギリスに行ったのは2011年でした。
当時、地元のケーキ屋さんで働いていました。
夏季休暇にふと海外旅行へ行こうと思い立ち、本屋さんの旅行本コーナーで行き先探しを始めました。
条件は

  • 5日間で行ける
  • 英語が通じる(中学生レベルでも)
  • 1人でも安全そう

そこで候補に挙がったのがイギリスで、ガイド本コーナーで見つけたのが
「イギリスのお菓子に会いにロンドンへ」(イカロス出版)でした。

それまでイギリスのお菓子といえばスコーンとアフターヌーンティーのイメージしか無かったのですが、本には可愛らしくておいしそうなお菓子がたくさん。
この本を即購入して、イギリス旅行が決定しました。

実際にロンドンへ行ってみて焼きっぱなしのスタイルのケーキがカフェのカウンターに無造作に並べられている感じに驚きました。全体的に地味な色味で素朴な見た目ながら、何ともおしゃれです。
繊細なデコレーションできらきらしたフランス菓子とはまた違った、素朴で温かみのあるイギリス菓子の魅力を感じこういったお店が日本にも増えたらいいのにと思いながら初めてのイギリス旅行から帰国しました。

どこで学ぶか?

帰国後、お菓子はもちろん、イギリスの雰囲気が気に入った私はロンドンで生活してイギリス菓子のことをもっと知りたいと思い何か方法はないかと調べました。
お菓子留学といえばフランスかドイツが主流の中、家庭菓子が基本のイギリス菓子では数日間のレッスンやコースはあるものの幅広く学べるところはなかなか見つかりませんでした。

ならば実際に働くしかないと思い立ち、ワーキングホリデービザを申し込むことにしました。

イギリスワーキングホリデービザは30歳まで申請が可能で2年間の滞在、就労、就学が可能です。他国のワーキングホリデービザに比べて期間も長く、就労時間にも制限がないイギリスは人気が高く年間定員1000名に対して抽選の倍率は10倍近いともいわれています。

年齢的にもチャンスはあと数回、このまま洋菓子屋さんで働くことに限界を感じていたのでこれがだめならお菓子の道は諦めて転職しようと考えながらビザの抽選に申し込みました。

するとラッキーなことに1発当選!これは何かの運命だと思いイギリス菓子の道に進むことを決意しました。

長くなってしまい申し訳ありません。
次回はワーキングホリデーで渡英後~カップケーキ店で働いたことについて書きたいと思いますので興味のある方はお付き合いいただければ嬉しいです。

オープン日決定のお知らせ

こんにちは!

wicked bake shop ウィキッドベイクショップオープン日を決定いたしましたのでお知らせします。

2020年10月3日(土)11:00から営業開始いたします。

週に1度、毎週土曜日11:00〜18:00(売り切れ次第閉店)での店頭販売とさせていただきます。
お持ち帰り販売のみで、店内イートインスペースはございません。

スコーンやビクトリアスポンジなどの定番イギリス菓子と、季節に合わせて不定期に変わるメニューを合わせて10数種類販売する予定です。
メニューの詳細については営業日の前日までにInstagramアカウントでお知らせいたします。

先日プチリハーサルとしてお菓子をショーケースに並べてみました。

こんな感じにずらっとイギリス菓子を並べてお待ちしております。
オープンから10月31日までにお買い上げいただいたお客様にはお菓子によく合う紅茶のティーバッグをプレゼントさせていただきますので是非お越しください。


オンライン販売の方も出来るだけ早く始められる様に準備中ですので、遠方の方はそちらもよろしくお願い致します。